こんばんは
今日は、スプリンターたちにはSTRENGTH TRAININGに、また、ミドル・ロング軍団には自重負荷やRING、プライオメトリクス系のトレーニングを組み合わせたDRY+スイム・パワートレーニング(その代わり、STRENGTHは行わない!)に挑んでもらいました。
中大の、主にスプリント陣を支えてきたパワーマシン(Power Processor For Swimming)。
最近、調子が悪いということを聞いたので、本日の使用前にチェックしたら、確かに「こりゃ、駄目だ」という状態。
僕を「中大のコーチ・教員に導いてくれた」ともいえるこの機械は、泳いでいる時に発揮されるパワーを定量化するものとして、1992年頃に開発されました。なので、今の1年生と同じくらいの”歴史”を持っているわけですね!
90年代前半には、「泳ぎそのものに負荷を与える」という手法を、ハイ・パワートレーニングとして取り入れている例が日本にはほとんどなかったため、中大が率先してそのために必要なデータの蓄積にあたったというわけです。
最近では、この機械を、ただの「負荷装置」としてしか利用していませんが(汗)、実はこれ、泳いでいる時のパワー出力を測定できる優れものなのである(あった)と同時に、ゴムチューブでは実現不可能な”アイソトニックな負荷”を25m通してかけらえる(のに、小さなボディで済んでいる!)という優れたトレーニング器機でもありました。ちなみに、海外、特にアメリカでは、POWER RACKというトレーニング機(YOU TUBEなどで確認できますが、結構でかいです!)により、アイソトニックな負荷をかけるハイパワートレーニングを行っているようです。
パワーマシンが中大にやってきて、当時の監督(この装置の発案者ですね)は、何の予備知識もなかった僕に、「選手の泳パワーを測って欲しい」と”チャンス”を与えてくれました。機械はあるが、その使い方も含め、よくわかっていないことの方が多かったようで...。
何はともあれ、必死になってその機械を使いこなすことから始めました。大学院を修了し、さてどうしようか、と思っていた時期にこの「仕事」を与えられたがために、再び定期的に中大水泳部に関わることにもなったわけです。
パワーマシンの最大の特徴である、”アイソトニックな負荷”をコンパクトなボディで実現させるために採用された『パウダーブレーキ』という負荷制御方式が、主に湿気の影響を受けて、刻々と変化してしまうというシロモノだったため、数分おきに負荷のキャリブレーションを行わなければいけないということで、けっこうな苦労を強いられました。
パワーの測定ということについては、2ミリ秒というとんでもなく細かい単位で出てくるデータの山を処理するために、エクセルに強くなる必要もありました...。
ということで、いやいや鍛えられました。
選手を鍛えるために開発されたものですが、僕も鍛えられていたのだな~...。
プロトタイプの頃は、アイソトニックな負荷をおよそ2kg~20kgまでスイマーに与えることができたため、1kg刻みで、様々な負荷をかつてのMarauderたちに課し、種目別に準牽引泳(Semi-Tethered Swimming)を行わせたときのパワー出力を毎週記録したわけです。
毎週木曜日は、「パワーテスト」がトレーニングとして展開されたわけですから、極めて多くのデータを得ることができました(その分、僕の仕事も山ほどありました)。
得られた多くのデータから信頼性の高い統計処理を行うことも出来たため、次第に、「これくらいの負荷設定にすると、技術改善を伴うパワー出力の向上が可能になるだろう」という、トレーニングにおける指針も僕の中では定まっていくことになります。
結果、パワーテストは、カーブテストの週に行うという計画に変わっていくことになり、1シーズンで4~5回のパワー測定を行うというスタイルがしばらくの間定着することになります(2007年頃まで)。
1993~1997年頃までは、中大水泳部での僕の主な仕事は「パワープロセッサーを使ったパワー測定をすること。」だったわけです。この仕事があったから、定期的に中大水泳部に携わることになったし、この仕事があったから研究業績も増え、結果的に中大に就職するために必要な要件をつくってくれたともいえます。
中大の場合、乳酸カーブテストにしても、水中パワー測定にしても、トレーニングプログラムのなかに組み込むことを特徴としていたため、水中パワーを測定する機会である、CNPT(Chuo Neuro-Power Training)のプログラムそのものを任されるようになり、そのトレーニングのマクロプログラムの作成まで行うようになりました。
1週間に1回のパワートレーニングでしたが、その全てを自分でプログラミングするようになったことが、中大でのコーチとしての第一歩だったのかもしれません。
というわけで、”かつてのCNPT”は、僕が年間のプログラムをたて、1回毎のワークアウトについても”期分け”をし、時期に応じて内容や負荷を変えて、1年中、週に1回は必ず行っていました。
90年代(中盤以降)のOBがそれを知ったらびっくりするかもしれませんが、今はCNPTは、チーム全体で行われることがほとんどありません。また、スプリントチームのCNPTのプログラムにもほぼ関与していません。時代は随分と変わったわけです(笑)。
機械の老朽化も進み、特にパワー測定を行うためのソフトウエアが古すぎるため(MS-DOSでのみ動きます)、また”その他の理由”により、測定は行わないことになったものの、”トレーニング機器”としては利用させてもらっています。
約20年間お世話になる中で、何度も故障し、その度に直し(半分くらいは自分で直しました)、継続して使ってきましたが、そろそろ寿命かもしれない....。そう思ったとき、無性に寂しさを感じてしまいました。慌てて製造元のVINEさんに電話をし、状況を話し、「最後の修理」に協力していただくことにしました。
うまくいけば、次のシーズンには間に合うかも(測定はしないと思うけど)。
もし直すことができたら...僕の相棒を、大事に使って下さい!
それでは!!!